面接官が聞きたい自己PRを伝えるコツ
こんにちは。Shinです。
前回の記事「面接であなたの魅力を100%伝えるSTARフレームワーク」では、外資企業で採用されている行動面接に対して、聞き手にわかりやすい魅力的な自己PRを構築するSTARフレームワークについて書きました。
STARフレームワークは、どうやって自己PRを組み立てるかのHowの部分です。
今回の記事では、何を伝えるかのWhatの部分について、魅力的な自己PRを書き下すためのコツをシェアしたいと思います。
なぜ、この話をするかというと、話の組み立て方が上手でも、面接官が聞きたい内容でなければ、それはどうでもいい昔話になってしまうからです。
魅力的な自己PRを行うためには、面接官が何を聞きたいのかを想定し、STARフレームワークを使って話をくみ上げることが必要です。
私はこの方法をつかって、GAFA(Google, Amazon, Facebook, Apple)のうちの2社から無事に内定をもらうことに成功しました。
今転職しようか迷っている方、実際に面接に進もうとしている方の、助けになれば幸いです。
目次
まず、採用する側にたって考える
私は過去に働いていた楽天では、採用する側の人間でした。
プロジェクトマネージャー、プランナー、デザイナー、クリエイティブディレクター、ジュニア、シニア、マネージャー、さまざまな人の面接を行いました。
話はうまいんだけど、微妙に話のピントがずれている人、けっこういました。
そんなときに面接官が思うのは、
- そのポジションに必要な経験が不足していて話せない
- 経験はあるけどうまく伝えきれていない
- そもそも募集要件をよく理解していない
の、いずれかです。
コミュニケーション能力が高く、マネージメント志向の強い、良い面接官の場合は、伝えきれていない部分を、質問によって深掘りしてくれるかもしれません。
しかし、プレーヤータイプの面接官で、ジャッジ志向が強い場合には、あなたは経験不足の人間、コミュニケーション力が不足している人間、JD(募集要項)をよく理解していない人間と残念な判断を下されてしまいます。
いずれにせよ、限られた面接時間の中で、運ゲーにならないように、自らが魅力的な自己PRを語ることができるようになれば、無敵です。
過去の失敗談
昔、Netflixがまだ日本位入ったばかりの頃、ブランドマネージャーの選考を受けていました。
Netflixは、世界でもっともユニークな人材戦略を持っている会社で、「自由と責任」というキーワードのもと、採用プロセスにおいては、下記の「Netflix Culture」を読み込むようにとの指示がありました。
NETFLIX – Netflix Culture
https://jobs.netflix.com/culture
We:
– encourage independent decision-making by employees
– share information openly, broadly, and deliberately
– are extraordinarily candid with each other
– keep only our highly effective people
– avoid rules
面接の終盤に、質問タイムで「チームのKPIは何?」って質問したら、「お前はうちのカルチャーを全然わかってねぇ!」と面接官が激オコでした。汗
あとあとよく勉強してみたら、Netflixは、プロ中のプロしか雇わず、完全個人にお任せ主義であり、むしろKPI文化って時代遅れだよね、文化を持っていることを知りました。
また、有給休暇が存在しておらず、社員は自己責任によって自由に何日でも休むことができる、といった制度も特徴的でした。
選考結果は、いわずもがな落選でした。
企業文化や、彼らの大切にしているものに対して敬意を払い、もっと学んでから面接に挑むべきだったなと反省しています。
話の組み立てがいくら上手でも、持ち合わせるべき視点が欠けていては残念な結果になってしまいます。
そうならないためのポイントをお伝えします。
自己PRで盛り込むべき3つの視点
Principle(原理原則)
プリンシパル、日本語訳が難しいですが、原理原則と訳しておきます。
上で挙げたNetflix Cultureのようなもので、企業が大切にしている主義主張といったところです。
GAFAをはじめとする外資系企業や国内のIT企業では、人材戦略におけるPrincipleを行動規範を定義している企業が多いです。
こうしたPrincipleを企業側が持っている場合は、面接者に対しても同じ志向性をもっているか、知りたがっている可能性が高いです。
いくつかサンプルをみていきましょう。
Amazon – Leadership principles
– Customer Obsession
https://www.amazon.jobs/en/principles
– Ownership
– Invent and Simplify
– Are Right, A Lot
– Learn and Be Curious
– Hire and Develop the Best
……….
Amazonは、15項目くらいのキーワードがありますが、一番大切なのは、カスタマーセントリックに考え行動できるかという点らしいです。
UX、CX、UCD、NPS、デザイン経営などなど、つまりユーザ中心にサービス展開しましょうよ、という考え方がようやく日本にも普及し始めてきましたが、IT先駆者のAmazonが「Customer Obsession」を最重要視しているのはさすがです。
彼らが大切にしているものが「Customer Obsession」とわかったので、あとは自身の過去の事例から、顧客中心に行動できて、かつ結果が出た事例を思い出して、STARフレームワークに沿って自己PRを組み立てます。
楽天 – ブランドコンセプト
大義名分 -Empowerment-
https://corp.rakuten.co.jp/about/philosophy/principle/
品性高潔 -気高く誇りを持つ-
用意周到 -プロフェッショナル-
信念不抜 -GET THINGS DONE-
一致団結 -チームとして成功を掴む-
楽天のブランドコンセプトは、社是社訓に近いものですが、4項「GET THINGS DONE(とにかくやりきる!)」なんかは、社員の行動規範として深く浸透していました。
たとえ困難なことがあろうと、自らが考えて、やりきる、というメンタリティを楽天は求めているので、それに関連する過去の自分の事例を引っ張り出しましょう。
メルカリ – ミッションバリュー
– Go Bold – 大胆にやろう
https://mercan.mercari.com/value/
– All for One – 全ては成功のために
– Be a Pro - プロフェッショナルであれ
メルカリのミッションバリューは、楽天のものにとても似ていますが、それもそのはず、創業者の山田氏は元楽天です。
CtoCマーケットプレイスのパイオニアですが、ベンチャー気質が強く、失敗を恐れずに、大胆に物事を進めていくというBOLDさが求められるのがわかります。過去の自身の経験の中で、大胆にチャレンジできたことを中核に自己PRを組み立てます。
企業文化として大切にしているもの、人材に求めるものがきちんと把握できれば、面接官が聞きたい魅力的な自己PRを組み立てることができます。
Competency(能力)
中途採用であれば、即戦力になることが期待されています。
また特にIT業界では、求人倍率が0.5倍と、仕事探しをすれば平均で2社からのオファーをもらうことができるという超絶売り手市場であるため、Principleにフィットするかよりも、純粋に能力があるかどうかをみられる場合も多いと思います。
書類選考を通過し、面接に進んでいる場合は、採用側はある程度は確信をもっていると思って間違い無いでしょう。書類選考の通過率は、企業や部門によっても異なると思いますが、10〜30%の難関なので。書類選考通っているのであれば、面接で存分に能力アピールをするだけです。
そのポジションに必要とされる能力をアピールするために、STARフレームワークをつかって話を組み立てていきます。
(質問サンプル)
過去のプロジェクトの中で、あなたが自らゴールを設定し、やり遂げることができた事例を教えてください。
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(回答サンプル)
Situation or Task(状況またはタスク)
トラベルブッキングアプリのUXチームのマネージャーとして新しくアサインされた際に、アプリのリテンションが低いことが課題であった。特に、1-3日のドロップ率が85%と著しく高く、オンボーディングのエクスペリエンスを改善することが喫緊の課題であると考えた。私はこのドロップ率を2ヶ月以内に、75%まで低下させることをゴールに設定した。
Action(あなたがとった行動)
まず早急にアプリのUXのユーザーインタビューを実施した。それまでSQLのローデータしか存在せず、アプリの全体体験のを定量的にしかみることができていなかったため、オンボーディングのエクスペリエンスを重点的にユーザーインタビューを実施することにした。
調査では、ユーザーはホテルやエクスペリエンスの予約ページには至り、回遊はするものの、登録・予約までは進まないという現象が見て取れた。登録予約しようと思っても、登録の選択肢やプロセスが煩雑で、気軽にプロセスを進めることができないという発見があった。
この発見は定量的にも裏付けられた。つまり、CTAは高いがCTRが低いという現象だ。
わたしは、この登録・予約のプロセスのUXの改善をするべくさまざまなモックアップを作成し、ABテストを実施した。その中で結果の良かったデザインをアプリに実装し、アップデートをかけた。
Result(結果)
アプリの1-3日間でのドロップ率は、アプリのローンチから1ヶ月で85%から70%まで低下させることができた。
当初目標としていた75%よりも高い目標の達成であり、またマネージャーから提示されていた3ヶ月という期限よりも短い2ヶ月でこの目標を達成することができた。
UXデザイナー、マネージャーのポジションだったら、こんな内容を書くと、魅力的な自己PRになります。
Mind-set(心の志向性)
中途採用では、コンピテンシー、Principleマッチなどを中心に見ますが、応募者のマインドセットやパーソナリティを把握することは、採用後、中長期的に活躍してもらうためには、重要な要素になります。
自己PRになるエッセンスとしては、
- 困難な状況でもやり切れるメンタリティ
- より高い目標に向かって自走するという、オーナーシップとチャレンジ精神
- 意見が相対する人とのコミュニケーション力
- チームの若手メンバーをケアし、育てる力
といった、点がアピール要素になるかと思います。自分の過去の経験から、採用側のPricinpleに合わせて、自己PRをアレンジしましょう。
ただし、嘘はつかないでください。
嘘はバレます。
特に行動面接では。
なので、あくまでも自分の経験の中のエピソードを、聞き手好みにSTARフレームワークでアレンジするというレベルにしましょう。
コンピテンシーやマインドセットに自信が場合、自己PRをどう語るか?
転職というのは少なからず挑戦が伴うため、コンピテンシーが100%合致していないケースも多々あります。
過去にマネージャーとして人材管理を任されたけど困難の連続だった。マネージャーとしてのマインドセットを持ち合わせていなのかなぁ、、、そんな思いを心に秘めて面接に挑まなければいけない場合もあると思います。
成果としてラーニングを語る
これに尽きます。
自分が過去の経験の中で、うまくいかなかった経験を客観的に直視し、そこから得られたラーニングを語ると割とポイントが高いです。
マーケティングプランを考える中で、自分の経験を信じすぎていたために、うまくいかなかった。
↓↓↓↓↓↓↓↓
ファクトフルネス(事実に基づいて考察する能力)が足りなかったことに気づき、それ以来データを活用するという志向性が身についた。
といった具合です。
失敗経験なんて誰も話したくないもの。
でも失敗を客観的に直視できている人は、伸び代があります。
なので、失敗を語ることが悪いことではありません。
といっても、自ら進んで失敗した体験を語る必要はありません。たまに、過去の失敗談って何ですか?みたいな質問を受ける場合がありますが、それ以外は、失敗したという切り口で語る必要はありません。
では、どう語るか?
上のサンプルを書き直してみます。
データが限られている中で、自分なりにマーケティングプランを練り上げた。
↓↓↓↓↓↓↓↓
悪くない結果ではあったが、さらに精度を高め、またイテレーション(PDCAサイクル)を回していくために、ファクトフルネスの重要性に気づいた。以来、データを上手に利用しながら、昨対比よりもいい結果を残せるようになった。
みたいな書き方をすると、面接官的には「あー、この人は自分で学びながら、改善していける人なんだな」と好印象になります。
例え、多少のコンピテンシー不足が認められようが、学びの自走ができる人は必ず伸びるので、積極的に採用したいなと思います。
まとめ
面接官が聞きたい自己PRを行うためには、まず面接官の立場になって考えることが重要です。
応募する企業のことをリスペクトし、徹底的に調べ上げることで、面接官が聞きたいエッセンスというのが理解できるようになってきます。
そのエッセンスに対して、過去の自分の経験から、自己PRを組み上げます。自己PRを組み上げる際には、STARフレームワークを活用すると、抜け漏れのないわかりやいストーリーをくみ上げることができます。
少しでも参考になれば幸いです!