ブランドものを欲しがる人は、引き寄せができない?
「あなたの欲しいものは、本当に心から望んでいるものか?」の記事で書いたが、引き寄せや思考の現実化の精度を高めるためには、自分の本当の望みを知ることがとても重要である。
この記事では、私の経験ベースで、いらないと思って捨てた価値観「ブランド」について話していこうと思う。
目次
若いときに囚われていた「ブランドは良い」
私は海外に住んだり、旅行先でいろんな国の人の人生の話や考え方を聞いたりして、自分が無意識にとらわれていた要らない価値観に気づき、ひとつひとつ壊してきた。
過去を振り返ってみると、実に要らない価値観をたくさん持っていて、それを疑ってすらなかったと思うことがたくさなる。
その一つが「ブランドは良い」である。
高校生の時は、初めてアルバイトを始めた。
自由に使えるお金が増えたので、ブランドロゴの入った服をたくさん買った。
時代はストリートファッション全盛時代である。
田舎だったけど、StussyとかSupremeといったブランドが流行っていた。
ロゴの入ったパーカー1万円。
そんなものにありがたくお金を払っていた。
価値観を解体することの大切さに気づく
考え方が変わったのは、デザイン系の大学に入ったのがきっかけだった。
良いデザインとは、大きく2つの工程から生まれる。
ひとつは、既成概念の解体。
ふたつは、それらの再構築(=表現)。
である。
良いデザインは、既成概念の解体なくしては、絶対に生まれない。
ブランドものをブランドものだからとありがたっている状態では、他のオリジナリティのあるブランドは作れないのである。
そのことに気づいた。
あるとき、ブランド(洋服)を解体しまくろうと思い立った。
そして、自分なりに行き着いたのが下の図である。
洋服を構成するもっとも原始的な3つの要素。
色、形、素材感 である。
この3つの要素まで分解できていれば、オリジナリティのある、おしゃれな着こなしができるようになる。
ぶっちゃけ、この3つの要素はユニクロで全部揃う。
3つの要素を知り尽くしていれば、ユニクロでもおしゃれに着こなせてしまう。
ユニクロでもおしゃれに見えちゃう人は、まさに概念の解体作業がうまくできているのである。
どの色を合わせたらかっこよく見えるのか?
異なる素材感をどう合わせるべきか?
着丈、身幅、シルエットをどうするか?
おしゃれな人は、いつもそう言う感性で洋服を見ている。
仕事中はスーツがかっこいいのに、普段着だとダサくなってしまう人は、概念の解体作業ができていない。ユニクロだけで服を来させれば、「あ、ユニクロっぽいよね」という印象になってしまうだろう。
という話をしても、依然として「ブランドは良いよね!」と言い続ける人がいる。
それはなぜだろうか?
そもそも、ブランドとは何なのだろうか?
ブランドの正体は広告費である
では、「なぜ人々はブランドをありがたいと思うのか?」
については、私は明確な答えを持っている。
なぜなら、私はブランドを作る側の人間だからだ。
数年前に高級iPhoneケースのブランドを所有していた。
2万円の高級iPhoneケースを、月に200台売っていた。
SNSや広告で、人々に「このiPhoneケースは高級である。2万円の価値がある」ということを、写真や言葉でひたすら刷り込むのである。
ちなみに、このケースは金属加工職人さんたちの手作業が入っているので原価率も高めである。だから、安い原価のものを高く売るというよりかは、職人さんたちにきちんと還元するために原価を確保して、それに対して納得してお金を払ってもらうために、ブランディングをしていた。
世の中のマーケティングは、ハイエンド路線か薄利多売路線のどちらかに集約される。
ヴィトン、ティファニー、プラダなどの高級ブランドはもちろん、ファッション雑誌に載っているようなストリートブランドは、あまねくハイエンド路線の一種である。
高級なイメージを植えつけて、高い価格設定をして、利益を上げるというやり方である。
下の図に、示したように(少し極端な例になるが)、10万円の高級ブランドの財布も、2万円のブランドの財布も、製造原価はあまり変わらない。だいたい1万円前後である。
品質を決めるのが製造原価の大小であるのであれば、高級ブランドの財布も、2万円の財布も、良さは同じということである。
じゃあ、製造原価が変わらないのに、人々が10万円の高級ブランドの方がいい!と思ってしまうのはなぜか?
それは、高級ブランドは広告費をたくさん掛けているからである。
一般的な商品・サービスの商品小売価格に占める広告費が3〜5%であるのに対して、ハイエンドブランドは50%以上を占めている。
高い広告費を使って人々の頭の中に、このブランドは高級である、このブランドを持つことはステータスである、というイメージを植え付けるのである。
人々が10万円の財布を買うときに、何にお金を払っているのか?
それは、5万円はブランドが費やしている広告費である。
ブランドとは広告費である。
あるいは、海外ブランドだったら、日本に輸入されるときの関税かもしれない。
革製品の関税率は8〜12%である。
良いから高いのではない。
諸費用がかかっているから高いのである。
それでもブランドは良い、欲しいと思う人の心理
ブランドは広告費である、の話をしたときの人々の反応は2つにわかれる。
タイプ1:そうだったのかー!ブランド買うのってアホらしいね!
タイプ2:そうはいってもブランドは良いと思うよ!
タイプ1の人は、心配はいらない。
気づくきっかけさえあれば、いらない既成概念を自分で壊していって、自分が本当に望むものに気づくことができるだろう。本当の望みがわかれば、引き寄せも早い。
問題はタイプ2である。
タイプ2の人の心理の正体は何なのか?
はっきり言うと、自信の無さ。
自分の価値観、感性でファッションアイテムを選ぶのが怖い、センスがないと言われるのが怖い、だからブランド物で武装する。ブランド物を来ているから安心できる。そういう潜在意識が間違いなくある。
ブランドを着ることをは権威のアピールでもある。
ブランドを買うことができるという財力があるということ、それを以って社会的成功者だと暗喩に自慢できること、そして虚栄心が満たされる。
でも、権威をアピールしたい潜在意識には、自信の無さが存在していることも多い。
自分自身に自信が持てないから、ブランドが広告費をかけることで作ってくれた社会的な価値にあやかっているのである。
他人の価値観で生きている人は引き寄せはできない
ブランド物を着るということは、他人や社会の価値観で生きるということである。
そう言う人は、自分の本当の望みがわからない、自分の潜在意識や弱みと向き合おうとしない、向き合おうとしても自己弁護してしまうという心の弱さがある。
そのため、自分にとっての本当の幸せや楽しみを引き寄せることができない。
正確に言うなら、女優のように感情を出したり、味わったりすることが得意な人は、引き寄せはできるかもしれない。
でも引き寄せたものが、本当に自分の望むものでないのなら、引き寄せても意味がない。あるいは、自分も気づかない心の底に潜む弱さを満たすためにブランドを身につけるって…まーそれも悪くないのかもしれない。
ただ、自分の潜在的な弱みや本当の望みを知ることは、より楽しく自由な人生への第一歩である。
ところで、ブランド=広告費の正体を知りながら、それでもブランドが好きである、と再認識する人もいる。
友達に、外車大好き、5つ星ホテル大好き、タワマン好き、海外出張大好き、外資系企業でバリバリ働く俺カッコいい!の人がいる。
そいつは、同じブランディングを生業としているので、ブランドが広告費であることも重々承知である。その上で、ブランドが好きだ!と言い切っていて、ブランドに囲まれたラグジュアリーな生活を引き寄せて楽しんでいる。
そういう人もいる。
大切なのは、自分に刷り込まれた、当たり前だと思っている価値観に、改めて面と向き合ってみることである。