全ての決断はハートで。ハートがピンと来ないのに訪れてしまったベリーゼ。
2019年の秋に中南米を2ヶ月プラプラしてきたときの話。
前回の記事は、メキシコのプラヤデカルメンやコズメルでの楽しかった思い出の話をした、その続きである。
あまり気は進まなかったのだけど、プラヤデカルメンの後に訪れたベリーゼで見聞きした事と、改めてハートに沿った決断が大切だなと思ったエピソード。
目次
気は進まないけどベリーゼに寄ってみる
まずベリーゼというのは国である。人口40万人で、中南米にあって珍しい英語圏の国だ。
私は海外をまわるときはいつも行きと帰りのチケットだけ買って、あとは地球の歩き方と現地で情報収集しながら即興でプランを組み立てていくスタイルである。
メキシコは実は2018年の夏にも訪れていて、そのときは2週間ほどかけてカンクンから左の方へ北上していった。
この2019年の旅はカンクンスタートで南下していって、コロンビアまでいくというのが大まかなプランであった。
プラヤデカルメンで、透明度50Mの透き通ったカリブ海でスキューバとスノーケリングを満喫した後は、グアテマラの方へ向かって南下である。
地球の歩き方によると、プラヤデカルメンより南は、周辺に幾つかのセノーテくらいがあるくらいで、ほぼ何もないと書かれている。
国境を超えるとベリーズがあるのだが、この国の見所は、海に落ちた隕石のクレーター跡「ブルーホール」くらいなも、と書かれている。
ホステルで情報を聞いてみても、グアテマラまでは本当にこれといった見所はないらしい。
別にブルーホールを見たいわけではない、というかブルーホールをちゃんとみるんだったら飛行機チャーターしないといけないが、100〜200ドル払って見たいかと言われたらそうでもない。そして、メキシコで思いっきりスキューバを楽しんできたので、しばらくは潜らなくていい気分。
急行のバスを使えばベリーズを通らずにメキシコからグアテマラに入る方法もあるが、どうしたものか。ベリーゼは全然心がときめかない。
だが、通った国をカウントアップさせたい、要は○ヶ国行ったの数字を増やしたいという打算が働いて、結局ベリーゼシティで一泊することに決めた。
陸の国境越え楽しいし、という理由を後付けて自分を納得させる。
プラヤデカルメンからベリーゼ行きのバスに乗る
早起きして、プラヤデカルメンのバス停に行く。
メキシコは交通が発達しているので移動がとてもやりやすい。スペイン語圏だけど、時間も割と正確である。
観光客御用達のバス、ADO(アデオ)やOrienteは最高の乗り心地である。シートも広いし、安いし早い。たまにWIFIまで使える。
プラヤでカルメンから国境までの200kmは、3〜4時間ほどで2000円くらいだった。
メキシコ・ベリーゼの国境越え
国境到着。
うーん、なんの風情もない!笑
国境はだいたいこんなもんか。
陸の国境での手続きはまず、出国するメキシコ側のイミグレオフィスで出国スタンプをもらう。そして、どこ国にも属していない緩衝地帯を数分歩いて、入国するベリーゼ側のイミグレオフィス行き、入国スタンプを押してもらうという流れになる。
メキシコ側のイミグレで、噂の観光税?約20ドルを請求された。
飛行機でメキシコINした人はチケットを買うときに観光税を払っているので、陸路での出国の際には本来払わなくていいものらしいのだが、イミグレの職員がポケットマネーにするために、問答無用で出国者全員から徴収しているらしい。
なんともメキシコらしいねぇ♪
ベリーゼ入国。ベリーゼシティ行きのバスに乗る
このベリーゼという国、中南米の中では珍しく英語圏の国である。そして黒人が非常に多い。黒人の人の英語は独特なリズムと音なので聞きづらいことも多いが、それでもスペイン語圏にはない、心の安心感がある。
バスターミナルのおばちゃん、おじちゃんが親切で、ベリーゼドルのレートの説明をしてくれたり、見所の案内をしてくれた。
しばらく待つと、バスが来たので乗り込む。エアコンなしだ。。
メキシコの快適なバスで忘れていたが、久しぶりの汗がにじむ、じわる暑さを耐えることになる。
首都ベリーゼ・シティに到着
国境から2時間ほど走ってベリーゼ・シティのメインバスターミナルに到着。
あ、うん、ちょっとやばい国だな。
黒人が多いのはそうなのだが、人々の目つきとか、空気感とかで、かなり危ない街の部類だということにすぐに気づく。
外務省の危険度レベルは「充分注意してください」のレベル1なのだが、2019年には日本人が強盗にあって殺されたりしてるらしい。
こういう殺伐とした空気を味わえるという点では、非常に稀有な国ではあるが、来たことを若干後悔する。
しかも着いた時点で午後4時、宿無しである。
バス停から「抗争地域危険」のスラム街を抜けて、街の中心へと歩く。
ここを通るときは、地元民のこちらを見てくる目つきがヤバすぎて、生きた心地がしなかった。気を抜いたら何かが起こるくらいのレベルの空気感である。
少し前に、観光客っぽい2人組の白人の男が歩いていたので、こっそり彼らに近づいてグループに見られるように装う。
このスラム街を撮りたかったのだが、ほんまにやばい場所ではスマホなんか出せないので、写真は残念ながら取れなかった。
街の中心も殺伐としている
スラム街を抜けて街の中心へ。スラム街よりもいくぶんかましになったものの、この殺伐さは記録せにゃあかんということで、急いでポケットからスマホを出してパシャっと撮った写真。
この場所、ベリーゼという国で一番栄えている場所である。
東京でいうと渋谷とか六本木とかそういうイメージ。
片足のない浮浪者が睨んでくるし、なにやらガヤガヤ喧嘩の声が聞こえるし、お店の前には銃を持った警備員、いないところは鉄格子がデフォルト。
( ; ゜Д゜) ガクプル
ちなみに宿はまだないので、かなり焦っている。
目星をつけていた町外れのドミトリーに行くも、なんと閉鎖している。
日も暮れたので、いよいよ危険度が高まっている。
再び街の中心まで注意しながら戻り、2番目の候補のホテルの行き方がわからずうろうろしていると、前に一台の車が停まる。窓からは人の良さそうな陽気なお兄ちゃんが、
「どうしたYO〜!ここ危ないぜ!」
と話しかけてきた。
「宿探してるんだけど、見つからないのよね」
「おー、宿か。どこでもいいなら、ここまっすぐ行って、右に曲がったら一件あるから行ってみー!」
「まじで!ありがとー!」
「気を付けろよー!」
言われた通りに歩くと、1分くらいですぐに宿発見!
シングルルーム一泊40ドルと、物価が安いベリーゼにしては高いのでは?と感じる値段だったが安全には替えられないのですぐに承諾してお金を払う。
よーーーやく、緊張・臨戦状態から解放される。
ほんまに長い1日だった。
ホッと一息 ε=(´ー`*)
レストランでの出来事
肩が軽くなったので、夜ご飯を食べることに。
宿の人がオススメしてくれたレストランに向かったら、安定の鉄格子仕様だ笑
中はテーブルが5つ、20人が入れるかくらいの大きさ。他に客はおらず、中学生くらいの女の子が宿題をやっている。
本日のおすすめを聞く。よくわらかない野菜の名前を言われて「???」が頭に浮かんだが、Riceだけはちゃんと理解できたので、それをお願いした。
ベリーゼで初ご飯♪
不味くもなかったが、おいしくもなかった。
今朝までいたメキシコでのご飯が全部おいしすぎたので、ベリーゼの食文化はあまり進んでいないのかなーという感想を抱いてしまった。
ご飯を食べていると、浮浪者っぽい汚い男が入ってきた。
お店のお母さんと顔見知りっぽいが、なにやら変に緊張感のある空気が流れてくる。お母さんが無言でご飯を渡す。ひったくるように受け取る浮浪者風の男。そしてお金を払わずに出ていく。
2人の関係性はよくわからないのだが、お母さんがボランティアでご飯を分けてあげているっぽかった。しかし受け取った浮浪者は、微塵の感謝も表さない横柄な態度だった。
この国よくわからん。
レストランを後にして、翌朝の朝食を調達しに行く。
うーん、カオスだ笑
床バキバキ。薄暗い。店員に詰め寄る客。
自分のいる次元が高ければ、同じ場所でも風景は変わるはずなんだけど、やっぱりベースレベルの影響は受けるんだろうなーと思った。
結局なにも収穫なし
翌朝、少し街を散策してみることに。昨夜に比べると朝の空気感は幾分か澄んでて、軽かった。
印象深かったのは、校庭に集められた中学生が、聖書の朗読を一心に聞いているという風景だ。
近くのバハマという国もそうだったのだが、カトリックが生活の深くに根ざしている。バハマでは聖書の朗読を専門に行うラジオチャンネルが存在していて、泊まった宿のおばあちゃんが一日中それを聞いていたのが印象深かった。
無宗教の私にとっては、バハマの出来事も、ベリーゼでの風景もよく理解できない光景だった。
このベリーゼ・シティの沖に、キーカーカーという旅好きが集まる島があると聞いたが、この二日間での経験から、あまり期待できる気がしなかったので、バスに乗って次の国グアテマラ を目指すことにした。
なんやかんやでこのベリーゼでは何の収穫もなかった。
殺伐とした空気を味わうことができたので、社会科見学という意味は大きかったが、それでも、行く前に感じた「ベリーゼはスキップしていいのでは?」という心のささやきに従っておけば良かったと、少し後悔した。
まとめ
徒然書きになってしまったが、以上がハートがピンときていないのに、来てしまったベリーゼで感じたことである。
もちろん現地に行かないとわからない空気感だったり、足を運ぶことで、新しい可能性が広がることも旅ではよくあることである。
しかし、そういう楽しいことが待っている土地では、行く前からここには何かある気がするぞ!という予感があることが多いので、気ままなバックパックの旅でもそういう感覚を大切にしていこうと思った。
次の話は、念願のグアテマラで、アリエッティが出てきそうなカフェでおいしいコーヒーを飲むことができた話をする。